Cross-Link Consulting合同会社

中国農園で学んだ「やらないのではなく、できない」という現実

お問い合わせ 会社概要

中国農園で学んだ「やらないのではなく、できない」という現実

中国農園で学んだ「やらないのではなく、できない」という現実

2025/08/25

私が中国で勤めていた会社の関連会社には農園があり、そこへ日本人の農業技術指導者に来てもらったことがあります。
対象は柑橘類やマンゴー。日本の丁寧な農業技術を導入しようという試みでした。

 

 

日本の丁寧さ vs 中国のスピード

 

日本人指導者は「紐をつけて洗濯バサミで枝をやさしく吊るし、自然に誘引してください」と丁寧に説明します。
ところが現場の作業員は「その方が早い」と針金で無理やり枝を曲げてしまうのです。
一見すると仕事は早く進みますが、結果として枝は傷み、樹の成長を妨げることになります。

こうした光景を見て、改めて日本の農業の「細かさと丁寧さ」を実感しました。
中国の現場は確かにスピードが速く、量をこなす力はあるのですが、一本一本を観察し、繊細に手を加える点では日本のやり方には到底かないません。

 

 

「やらない」のではなく「できない」

 

会社からは「日本産のように美しい仕上がりを」と求められ、指導者もそれを目指して作業指示を出します。
しかし現場ではその通りにできない。

これは「やらない」のではなく「できない」のです。
一本一本を丁寧に見る習慣がなく、そもそも細かい作業を続ける訓練を受けていないからです。

この「できない」という感覚は、農業に限ったことではありません。
例えば地方都市の年配の方々は、列に並ばず横から窓口に割り込んでくることがあります。
日本人から見ると「マナーを守らない」と思えますが、実際は「並べない」のです。
彼らの視界には列ではなく“窓口”しか映っていません。

一方で、大都市の若い世代は事情が異なります。
教育水準が高く、列に並び、マナーを守り、指示も守れる。
これは中国が発展する過程で就学率が上がった証でもあるでしょう。

 

 

果物パッケージに見る“あるある”

 

こうした背景を知ると、現地の果物事情も理解しやすくなります。
市場では「爆汁」「ジューシ|」といった怪しい日本語が印刷されたパッケージをよく見かけました。
「ジューシー」の長音が「|」になっているあたり、日本人からすると笑ってしまいます。

そして中身の果物はというと、不恰好。
デコポンと書かれていても形は揃っておらず、シャインマスカットも日本の“宝石のような房”とはまったく違います。
それでも実際に食べてみると——まあまあ美味しいんです。

見た目で判断しがちな日本人からすると拍子抜けですが、現地の人は「味がよければ十分」と受け入れています。

 

 

日本の「見た目偏重」への疑問

 

ただし、笑ってばかりもいられません。
日本の農業は「見た目の美しさ」を重視するあまり、規格外品は廃棄されたり、加工品用に安く流されることが多いのです。
味は変わらないのに、大きさが少し違う、形が曲がっている、色づきが悪い——それだけで価値が大きく下がります。

その結果、農家は手間をかけても収入につながらず、やり甲斐を感じにくい状況に追い込まれています。
一方で中国の果物は不恰好でも市場に出回り、「まぁまぁ美味しい」と普通に食べられている。
どちらが持続可能かと考えると、日本の“見た目偏重”には疑問を持たざるを得ません。

 

 

共通の課題として見えるもの

 

そして最後に気づいたのは、日本も中国も第一次産業である農業には若い世代が少なく、新陳代謝が進んでいないという共通点でした。
私が中国の現場で経験したことは、高齢化によって新しい技術や習慣がなかなか浸透せず、構造的に持続可能性が揺らいでいるという事実でした。

国や文化の違いは確かにあります。
しかし、農業という産業が直面している課題は共通していて、しかもその解決は簡単ではありません。

中国での経験を通じて見えたのは「違い」だけでなく「共通点」、そして「日本自身の課題」でもありました。

----------------------------------------------------------------------
Cross-Link Consulting合同会社
福岡県福岡市中央区天神2丁目2番12号
T&Jビルディング7F
電話番号 : 090-4599-1609


----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。