困難なホウレンソウ

中国、ASEAN諸国で従業員を束ねることは日本でのそれと、また違う側面があります。

 

就職氷河期を体験した私は新人社員の時、「ホウレンソウ（報告／連絡／相談）」を徹底するように叩き込まれました。最近は「徹底の必要はないのではないか？」との流れもあります。

 

思えば、周りの環境は良かったし、上司にも恵まれていました。

ホウレンソウはなぜ必要か？ある上司はこう言いました。

「あなたは現場の社員であり、立場としては下である。もちろん、給料も高くない。そんなあなたが、何かがあった時に責任を取らなければならない状況は避けたい。役付きが給料が高いのは責任を取るため。だから、何もなくても、何かある予兆があるかもしれないから、必ずホウレンソウを行うこと。責任はこっちが取るから、ホウレンソウを欠かさず、思い切って仕事をしなさい。」

 

今から思うと、なんて良い上司なんでしょう！まぁ、怖かったですけどね。令和的にはあの恐怖感はアウトでですが。

 

仕事は糸みたいなもので、絡まった初期は解けるのですが、絡みきってしまうと「切る」という手段しか無くなってしまいます。絡まった原因が、自分にある場合、なかなかホウレンソウを行うことは勇気が必要ではあります。

 

さらに、私が恵まれていたことは、自分がヘタこいて絡ませてしまった時でも、上司は糸を解くことを優先して実行してくれました。まぁ、その後にお説教タイムが待っているのですが、キャリアを積むにつれて、「原因がわかってる奴に説教しても意味がないから、次に同じことをやらないように」という一言と、自分が過去に失敗した話などをしてくれるようになりました。

 

その環境で社会人として仕事を進めていた私が大陸でお仕事をさせていただくことになったのですが、大陸の皆様は隠すんです。それ、ちょっとヤバくないか？ってことが起きても、ギリギリまで隠して自分でなんとかしようとする、で、どうしようもなくなって発覚する、大騒ぎになる、の連続でした。

 

自分が及び知らないところで、いきなり大きなトラブルになった場合、初期段階ならなんとかなった、ということはたくさんありました。逆に自分から見て、それはトラブル要因なので、報告をして、今のうちに手を打った方が良いのではないか？と思うことは多々ありました。

 

ただ、自分で何とかしようの半分以上は何とかなってしまい、表には出てこないのです。

 

彼らが優先することは自分の評価を傷付けないこと。自分が上手くやれば仕事はうまく進むので、これがセットになっています。日本人は一時的に自分の評価が下がったとしても、仕事をうまく回すことを優先する方が多いかと思います。結局仕事がうまくいけば、自分の評価はまた戻ってきますから。また、チームプレイの場合は、他に迷惑がかかってしまうので、一旦、自分の評価が下がったとしても、チームの評価を優先する方も多いかと思います。

 

大陸の考え方は個人プレイ、日本人の考え方はチームプレイ。

 

個人プレイなので、謝りません。全くないわけではないですが、他人に迷惑をかけた認識も少ないです。日常生活で謝らない訳ではありません。足を踏んだりなど過失で他人に迷惑をかけた時は物凄く謝ってくれますが、仕事の上での過失は別の話となります。

 

後、気をつけなければならないのは、いろんなサイトでも書かれていますが、注意をする場合は、皆の前ではやってはいけない、ということです。彼らは恥ずかしいという感情をとても嫌います。嫌いすぎて、怒りに変わりますので、そこは誰もいない場所で要点のみを手短に注意しましょう。嫌い度合いが半端ないので、事故が起きかねません。同じ中国人でもたまに見かけたので、中国人のくせに中国人の扱い方がわかってないなーなんて、笑ったものです。（日本人も日本人の扱いに長けているかと聞かれれば「？」なのですが）

 

蓋を開けたら大惨事！なんてことにならないように。次回は現地責任者の役割について記載したいと思います。